老人ホームに入るにあたり、心のより所である仏壇を持って行きたいのは自然な欲求でしょう。老人ホームに仏壇を持ち込むにあたっての注意点なども含め、知っておきたいことをまとめました。
仏壇なら持ち込める老人ホームが多い
結論から言えば、仏壇を持ち込めるかどうかは老人ホームによって異なります。他の入居者に迷惑がかからない限り、持ち込みが可能な老人ホームが多いようですが、入居を検討している段階で確認しておくことをおすすめします。
一人部屋か多床部屋かで状況は変わる
老人ホームの形態は仏壇の持ち込み可否に大きな影響を与えます。
一人部屋の有料型老人ホームであれば、まず間違いなく仏壇の持ち込みは可能です。ただし、スペースとの関係上、自宅の仏壇がそのまま入れられるかどうかは、入居を決める前に相談が必要でしょう。
老人福祉施設に分類される養護老人ホームや、特別養護老人ホームには多床室、いわゆる相部屋があります。多床室では、プライベートな空間が少なく、またスペースも限られるので、仏壇が持ち込めるかどうかは確認してみないと分かりません。サイズなども伝えて確認しましょう。
線香やろうそくは使えない
安全に暮らすことを第一とする老人ホームでは、誤飲を防ぐために自分の部屋での飲食を制限しているところもあるくらい、高齢者に事故が起こらないように配慮をしています。
そのため仏壇の持ち込みは可能でも、火を使う線香やろうそくのお供えは出来ない施設がほとんどです。
大きな声や音でのお勤めはできない
集団生活の老人ホームで気持ちよく過ごすためは、少なからず他者への配慮が必要です。朝早くや夜遅くの勤行、大きな声や音を立ててのお勤めなど、ほかの方への迷惑になる行為は、できないと考えておく方がよいでしょう。
今ある仏壇の前での習慣になってしまっている高齢者の方には、入居を機に仏壇を変えてみるのも一つの方法かもしれません。
入居のタイミングで仏壇を小さくするメリット
仏壇は心のより所として大切なものです。しかし、老人ホームには大きな仏壇より小さな仏壇が適しているようです。
高齢者にとって安全で使いやすい空間を作れる
高齢者は変化になじみにくいので、老人ホームでも使い慣れた家具を持ち込んでよいところが多くあります。ただ、それまでと比べて居住スペースは狭くなり、転倒などが起こらないよう配慮が必要なため、持ち込めるものは限られます。
仏壇もそれまで仏間で使用していたような大きさのものは、持ち込みにくいかもしれません。小さな仏壇に変えると、スペースの問題が解決でき、高齢者にとって使いやすい空間が確保できるでしょう。
仏壇処分の問題を先に解決できる
老人ホームは、終の住処で入居される場合がほとんどです。悲しいことですが、亡くなられて退室という形がほとんど。そうなると葬儀をはじめ、さまざまな手続きに追われる状況で、仏壇の移動や処分の手続きも平行して行わなければならない状態に陥ります。
仏像が安置されている仏壇の移動には、「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれる儀式が必要で、お寺の方に来ていただかなくてはなりません。さらに、大きめの仏壇を移動させるには、専門の業者に運んでもらう必要もあります。
家にある仏壇は仏壇として子どもに譲り、老人ホームには小さな仏壇を持っていくのも一つの方法です。
⇒「仏壇を引っ越しさせる前に知っておきたい4つのポイント」の記事を読む
高齢者の心を最優先して判断しましょう
親しい人との別れがいやでも増える高齢者にとって、愛着あるものや場所との別れは辛いもの。老人ホームの入居も同じです。入居にあたって小さな仏壇がよいとはいえ、今までの仏壇に強い思い入れがある場合は、持ち込みできないか相談しましょう。
どうしても無理なときには、写真を撮っておくなど、思い返せるように工夫してください。その上で小さな仏壇への買い替えをおすすめします。
未来創想では、老人ホームなど狭い空間でも供養できる小さな仏壇をご提案しています。