仏壇を引っ越しさせる前に押さえておきたいのが、”儀式・方法・流れ・費用”の4つ。
仏壇は、祭祀の場所であると同時に繊細な作りなので、引っ越しには専門的な知識も必要です。
1.仏壇を引っ越しさせるのに必要な儀式
“仏壇を移動させてはいけない”とよく耳にします。移動させてはいけない仏壇を、引っ越し先に持っていくのは可能なのでしょうか。
結論から言うと、仏壇の移動は可能です。しかし家庭にある仏壇は、その家の仏様の住む家なので、そのまま移動させるわけにはいきません。
仏様やご先祖様に、家(仏壇)からいったん出ていただきます。それが魂抜きや閉眼供養などと呼ばれる儀式です。
新居に着いて仏壇を飾ったら、魂入れ・開眼供養の儀式をし、仏様やご先祖様に家に戻っていただきます。
魂抜き・閉眼供養の儀式
魂抜きとは、仏壇に宿る魂を抜く儀式で、閉眼供養やお性根抜きという呼び方をする場合もあります。
魂抜きは、自宅に僧侶を呼んで行います。
僧侶の手配は菩提寺にお願いするのが基本で、線香・ロウソク・水・花・お菓子・お酒などのお供えものとお布施の準備が必要です。
必要なお供えものなどが気になる際は、魂抜きをお願いする際に確認するとよいでしょう。
仏壇から魂が抜けてしまうわけですから、そういった期間はそう長くないほうがよいとされています。
魂抜き自体は引っ越し前でよいのですが、希望の日取りで行えるよう、手配だけは早めにしておきましょう。
魂入れ・開眼供養の儀式
引っ越しで移動させた仏壇に、再び魂を入れる儀式が魂入れです。
新しくお墓を建てたり、仏壇を購入した際にも必要な儀式で、魂抜きと同様に、開眼供養・お性根入れ・入魂式など、別の呼び方もあります。
こちらも菩提寺にお願いするのが基本で、お供えとお布施の準備が必要です。
魂抜きと魂入れはセットで考えておくべきことですので、魂抜きを依頼する際に、魂入れについても日程を決めておくとスムーズです。
2.仏壇を移動・引っ越しさせる方法
仏壇が壊れると、修理費用はかなりの高額になりますので、細心の注意で移動させましょう。
仏壇を移動・引っ越しさせる方法や注意点をまとめました。
専門業者に依頼する
仏壇はとても繊細なもので、とくに金仏壇は素人が動かすだけでも壊れることがあるといわれます。
持つ位置なども決まっていて、車に運ぶだけでも専門知識が必要です。
見合った大きさの車と固定する技術も必要になるため、購入した仏壇店や仏壇専門の
引っ越し業者にお願いするのが安心でしょう。
少なくとも、仏壇の知識がきちんとある人にお願いしてください。
自分で運ぶ場合の注意点
やむをえず自分たちで運ぶ場合は、必ず2人以上の人数で運びましょう。
仏壇は立てたまま運ばなくてはならない上に、引っ越しの際は、家から最後に出し、新居には最初に入れるため、荷台のすぐ出せる位置に立てた状態でしっかり固定する必要があります。
仏壇は高価なものですので、破損には十分に気をつけてください。
仏具などの取り扱いについて
仏具はもちろんのこと、仏壇も思っている以上に取り外しができるように作られています。
外せるものは外しますが、その前に仏壇全体の写真を撮っておくのがおすすめです。引っ越し先で、悩まずに飾りつけができます。
細工の細かいものや先が尖っているようなものは、壊れないようにクッション材を多めにし、段ボール内で動かないようにしましょう。
それぞれに重量がかかりにくいように小さめの箱に入れ、大きな段ボールにまとめます。
専門業者が行ってくれる場合は、任せてしまうのも一つの方法です。
手荷物で運んだほうがよいもの
御本尊や御位牌など大事なものは、段ボールに入れず手荷物で運ぶのが安心。
万一壊れた場合に、補償がきかないことがあるからです。
高価な仏具なども、手荷物にするほうが安心でしょう。
3.仏壇を引っ越しさせる流れ
ここからは、引っ越し一ヶ月前からの準備の流れを見てみましょう。仏壇を移動させる段取りも、引っ越し作業に組み込みます。
1ヶ月前
引っ越しが決まったら、早めに菩提寺へ挨拶に行き、魂抜きの段取りを行います。
遠方で魂抜きをお願いできそうにないときも、まずは菩提寺に近隣のお寺を紹介してもらうなどの相談をしてみるのがおすすめです。
菩提寺がないときは、魂抜きを行ってくれるお寺を探します。引っ越した後の魂入れについてもこのタイミングで相談しておきましょう。
同時に誰に運んでもらうかを決め、引っ越しまでの段取りをしっかり話し合っておきます。
引っ越しの一週間前〜前日
魂抜きを行ってから、仏壇の掃除をして梱包します。
多くの段ボールの中に混ざってしまわないように、探しやすい目印を段ボールに付けておきましょう。
引っ越し当日
引っ越し荷物の最後に、仏壇を家から出してもらいます。新居に着いたら最初に仏壇を入れ、なるべく早いうちに魂入れをします。
4.仏壇を引っ越しさせるのにかかる費用
魂抜きと魂入れをするときには、お布施が必要です。相場はどちらも1万〜3万。
居住地によっても相場が変わりますから、周囲の人やお寺に確認しましょう。
配送費用は、通常の引っ越し費用プラス1〜2万が相場のようです。
引っ越しを機に仏壇を買い替えるケースも
仏壇が老朽化していたり、運ぶ費用や新居のスペースなどの問題で、引っ越しを機に仏壇の買い替えを検討される方もいるようです。
買い替えには、運搬費用も抑えられ、移動もスムーズにできる小さな仏壇を選ぶ方が増えています。
とくに昨今は、リビングなどのちょっとしたスペースに配置できるミニ仏壇が人気です。
インテリアになじむ洋風でモダンなデザインのものも多く、手入れに手間もかかりません。
家族が見える場所に置くことで、いつでも気軽に手を合わせられるのもミニ仏壇の大きな魅力です。
引っ越しの際は、買い替えを検討してみるのも一つの方法かもしれません。
買い替えの際の仏壇の処分方法は?
仏壇を処分する際も、移動させるときと同じく魂抜きの儀式が必要です。
仏壇は、魂抜きをした菩提寺で引き取ってもらえるケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
そのほかには、仏具店に引き取ってもらう、専門業者に依頼する、専門の買取店・リサイクルショップに買い取ってもらう、粗大ごみとして処分するなどの方法があります。
小さな仏壇なら引っ越しも楽にできます
大きな仏壇は、部屋から部屋への移動でも専門家にお願いしたほうがよいほど、動かすには知識が必要です。
壊れた際の高額な費用を考えれば、仏壇の引っ越しは専門家にお願いをするのが無難といえるでしょう。
その点小さな仏壇なら、自分で楽に運べますから引っ越しも楽です。
引っ越しを機に、仏壇の買い替えを検討してみるのも一つの方法かもしれません。
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