仏壇は祭事の場であるため、昔から適した向きというのが伝えられています。祈りの場としてふさわしい向きや、仏壇を設置するときに気をつけることをまとめました。
仏壇の向きには理由がある
仏壇には本尊が安置されています。仏壇の向きというのは、本尊の向きといえるかもしれません。
南向きに正面を据える
中国には古くから「天子は南面す(南を向いて座る)」という言葉があります。この思想は、日本にも伝わり、日本でも古くから帝は必ず南を向いて座られました。
京都御所正殿の紫宸殿(ししんでん)も南向きに作られています。そこから、貴人や主人は南を向いて座る風習ができました。
本尊も先祖も敬う対象ですから、正面を南に向けて北に置くのがよいといわれるのです。また、釈迦が南を向いて説法をしたという故事もあり、曹洞宗と臨済宗では南向きに仏壇を置くことが多いようです。
東向きに正面を据える
“西方浄土”という言葉をご存じでしょうか?阿弥陀如来がすべての命を救うために作った世界と考えられ、西方十万億土の彼方にあるといわれています。
阿弥陀如来を本尊にする浄土真宗・浄土宗・天台宗は、仏壇をなるべく東に向けて置きます。本尊が西側に安置されるので、自然と西に向かって手を合わせることに。
また、仏教発祥のインドでは日が昇る東が縁起の良い方角とされ、家の主人が東向きに座り、仏壇もそれに倣うよう東向きに置くようです。それが継承されて東向きがよいともいわれます。
本山を背にして置く
”本山に手を合わせる”という形に置くのが真言宗。本山を背にして仏壇を置くことで、本山へ向かって手を合わせる環境になります。真言宗は、流派によって本山がありますので、詳しくは菩提寺に尋ねるとよいでしょう。
置き場所を決めるときに気をつけたいこと
仏壇によい向きはありますが、実際に置くときにはさらに考えなくてはならないことがあります。
仏壇が傷まない場所を選ぶ
仏壇を南向きに置くというのには、もう一つ意味があります。昔は、家の北側に倉庫を構えました。北は直射日光が当たりにくく、気温に変動などが少ないからです。
仏壇は木製でさまざまな装飾もありますから、直射日光や湿度が高いと傷みやすくなります。それを避けるためには、北側に南向きで置くのがよかったのでしょう。
仏壇によい向きで置けるとしても、直射日光が射したり、風通しが悪かったりすると置き場所としては適しません。まず、仏壇を置くのに条件のよい部屋や場所を選び、その後、可能ならば仏壇によいといわれる方向に正面を向けるとよいでしょう。
神棚との位置に気をつける
日本では神棚と仏壇が一つの家にあることは珍しくありません。また、家の作りから二つが同じ部屋にあるという家庭も少なくないでしょう。
神棚と仏壇が同じ部屋にあるときに気をつけたいのは、向かい合わせて置かないこと。向かい合わせにおくと、どちらかに礼拝しているとき一方には背を向けてしまい、神仏に対してとても失礼な状態となってしまうのです。
神棚も南向きか東向きがよいとされますから、一緒に仏壇を置くときは並べるか、くの字の形になるようにしましょう。
理想の向きに置きやすいのは小さな仏壇
仏壇の向きはこだわらなくてよいという意見もありますが、特別な祈りのスペースとしてよい方向に向けたいという人が多いのではないでしょうか。
従来の仏壇のようにそれなりの大きさがあると、置きたい向きに置くこともままならないかもしれません。コンパクトな仏壇なら、狭い部屋でも理想の向きに置けるでしょう。
未来創想では、インテリアになじむ小さな仏壇をはじめ、手元供養のさまざまな品をご提案いたしております。