「お葬式はやらない」という選択肢はあり?
「お葬式はやらない」という選択は、現代の多様化する価値観に合わせて法的・社会的に認められています。日本では、葬儀は故人を弔い、家族や友人が別れを告げる伝統的な儀式として長く続けられてきましたが、法律で義務づけられたものではなく、あくまでも「慣習」です。
最近では、費用負担の軽減や、核家族化、宗教的な背景の変化により、従来の形式に縛られない「直葬」や「火葬のみ」の選択が増えつつあります。
このように、葬儀を省略することは法律上も何の問題もなく、各家庭が納得のいく方法で故人との別れを選べることが重要であるといえます。
お葬式をしないときの法的な手続き
お葬式をしない場合に必要な法的手続きは、死亡届の提出と火葬または土葬の実施です。遺族は、故人の死亡を知った日から7日以内に市町村役場へ死亡届を提出しなければなりません。
死亡届は、医師が作成した死亡診断書と一体化しており、遺族が記入・押印する形式となっています。この手続きは、役場への提出を葬儀社に代行してもらうことも可能です。
また、火葬は日本で一般的な処置であり、法律により死後24時間以上が経過してからでないと行えない規定があります。土葬が可能な地域は限られているため、ほとんどのケースで火葬が選択されます。
お葬式をしないデメリットや周囲への影響
お葬式をしない場合は、遺族や周囲に対する心理的・社会的な影響を考える必要があります。葬儀は、故人との別れを告げ、遺族や周囲の人々が故人の死を受け入れるための大切な時間です。
葬式をしないことで、遺族が気持ちを整理する機会を失い、精神的な負担が増すことがあります。また、親族や友人が故人とお別れする場がなくなるため、個別に弔問対応をしなければならず、結果として遺族がさらに負担を感じる場合もあります。
加えて、葬儀を省略したことで周囲から誤解や非難を受け、人間関係が影響を受けることもあるでしょう。
お葬式をしない場合も火葬は必要
お葬式をしない場合も、お墓に遺骨を納骨するために火葬が必要です。このため、葬儀や告別式などの儀式を省略して、火葬場で直接お別れを行う「火葬式・直葬」が広まりつつあります。
この形式では宗教儀式を行わず、火葬場でシンプルに故人との最後のお別れをすることができ、時間や費用の負担が軽減されます。お葬式を行うか、火葬のみで済ませるかは遺族の判断に委ねられており、故人や家族の意向に沿った形で選べます。
遺骨がいらない・残したくない理由は?
日本では、火葬後の遺骨を収骨してお墓に納めるのが一般的ですが、火葬後の遺骨を残したくないと考える人も少なくありません。ここでは、火葬後の遺骨がいらない・残したくないと考える理由についてご紹介します。
故人と深い関わりがない
故人と深い関わりがない場合、遺骨を引き取る必要がないと考える人は少なくありません。
例えば、面識のない親族が亡くなった際や、故人が一人暮らしで身寄りのない状態だった場合、役所や警察が戸籍をもとに遺骨の引き取り先を探し、関係のある親族に依頼することがあります。
しかし、生前に交流がなかった親族にとって、遺骨の引き取りや管理は心理的負担となりやすく、その結果、遺骨を残さない選択をするケースが増えています。
お墓じまいの予定がある
お墓じまいとは、墓石を撤去し墓地を更地に戻して返還する手続きで、後継者がいない場合や管理の負担を軽減したい理由から行われます。
お墓じまいをすると納骨する場所がなくなるため、新たな埋葬場所を確保する手間や費用がかかります。その負担を避けるため、あらかじめ遺骨を残さない選択をする方がいらっしゃいます。
遺骨管理の負担をかけないようにするため
通常、火葬後は遺骨を収骨し、四十九日法要の時期に納骨を行い、その後もお墓や遺骨の管理を継続する必要があります。
しかし、これには物理的な手間や経済的な負担が伴い、特に遠方に住む遺族にとっては大きな負担となることも少なくありません。こうした事情から、故人や遺族の意向で、遺骨を残さず負担を減らす選択が増えているのです。
納骨するお墓やスペースが確保できない
納骨するお墓やスペースが確保できない場合、遺骨を引き取っても埋葬先に困ります。
また、納骨スペースを空けるには、既に納められている遺骨を移動させたり他の埋葬方法を検討したりといった手間や費用がかかります。このような負担を考慮し、最初から遺骨を引き取らない決断をする方が増えています。
お葬式はいらない・したくない人がやっておくべきこと
「お葬式はいらない」「お葬式はしたくない」という人は、事前にやっておくべきことを把握しておくことが大切です。ここからは、やるべきことについて紹介します。
「お葬式をしたくない」という考えをはっきり示しておく
自分のお葬式をしたくない方は、生前からその考えを家族や周囲にはっきりと示しておきましょう。その際に、口頭で伝えるだけでなく、文書で残すことをおすすめします。
例えば、エンディングノートや遺言書、家族への手紙など、特に形式にはこだわらず、家族が確認しやすい形で意思を記しておくと良いでしょう。文書があれば、家族や関係者が客観的に本人の意向を確認でき、本人の希望に沿ったお別れが叶いやすくなります。
直葬の具体的な手配をしておく
お葬式を行わない場合、亡くなった後は納棺し、火葬のみを行う「直葬(ちょくそう)」という形式を取ります。直葬は、通夜や告別式などを行わないものの、必要な手続きは残るため葬儀社にサポートを依頼するのが一般的です。
直葬は需要が増加しており、多くの葬儀社が対応していますが、すべての葬儀社が取り扱っているわけではありません。そのため、まず対応可能な葬儀社を探し、複数の見積もりを取り比較した上で依頼先を決めておくと安心です。
また、生前契約を利用することで、あらかじめ自分が希望する葬儀内容を決め、費用を支払っておくことで「葬式をしない」という意思を確実に伝えられます。生前契約とは、元気なうちに自身の葬儀を準備しておくことであり、家族や関係者への負担を軽減し、希望通りの葬儀を実現したい場合に適した方法です。
遺言書を書く
遺言書を書く理由は、自分の財産や意思を確実に後世に伝え、遺産相続に関するトラブルを防ぐためです。遺言書には、遺産相続や財産処分について記載しましょう。
遺産相続について記載する
遺産相続に関しては、法定相続人やその他の受け取り手について、名前だけでなく具体的な相続割合を明確に記しておくことが大切です。法定相続分として、通常、配偶者には2分の1、子どもが2人いる場合はそれぞれ4分の1ずつとなっていますが、これは遺言者の意思で自由に変更が可能です。
相続割合に迷う場合は、信頼できる第三者に委託して決定を依頼することも選択肢の一つです。また、遺産分割を一定期間(最長5年間)行わないよう指定することで、相続に伴うトラブルを未然に防ぐ方法もあります。
財産の処分について記載する
財産がある方は、遺言書に財産の処分に関する意向も残しましょう。通常、財産は配偶者や子どもといった「法定相続人」に相続されますが、希望に応じて法定相続人以外の第三者に遺贈することも可能です。
第三者とは、血縁のない人を指し、たとえばお世話になった方への感謝として遺贈したい場合、その意思を遺言書に具体的に記載しておくと良いでしょう。また、個人だけでなく、特定の団体に対する遺贈を希望する場合も、遺言書で明示することで意思を反映させられます。
後見人を指定する
未成年の子どもがいる場合、特に離婚や配偶者の死去によって他に保護者がいない状況であれば、子どもを保護する「後見人」を指定しておくことが重要です。
後見人は子どもの保護者としてだけでなく、相続財産の管理者としての役割も担います。後見人には複数の候補を記載することが可能で、また、法人を後見人に指定することもできます。
指定する際には、後見人の氏名、住所、職業、生年月日など必要な情報を正確に記載しておくことが重要です。こうすることで、子どもの生活や財産が確実に守られ、相続に関するトラブルを回避できます。
非嫡出子の認知について記載する
法律上の婚姻関係がない場合に生まれた子どもを「非嫡出子」といい、その実の子であることを認めるためには「認知」が必要です。認知を行わないと、非嫡出子は法定相続人としての権利を持たず、遺産相続の対象にはなりません。
認知を遺言書に明記することで、非嫡出子も相続人として正式に認められ、遺産を受け取ることができるようになります。なお、この記載は父親側のみに求められるもので、母親については不要です。
親の遺骨がいらない・残したくない時はどうする?
遺骨を引き取ったものの、保管や管理が難しい場合はいくつかの方法で供養を検討することができます。ここでは、代表的な供養方法をご紹介します。
ご先祖のお墓に納める
遺骨を引き取っても保管が難しい場合、ご先祖のお墓に納める方法があります。お墓に納骨スペースがある場合、親族の遺骨として一緒に納骨でき、管理がしやすくなります。
納骨堂を利用する
納骨する場所がない場合、納骨堂の利用もおすすめです。
納骨堂は宗教や宗派を問わず利用できる施設も多く、故人の宗教が不明な場合でも安心して利用できます。施設が遺骨を管理するため、遺族に負担がかかりにくいのがメリットです。
合祀墓を利用する
合祀墓とは、合葬墓や合同墓とも呼ばれており、血縁関係のない複数人の遺骨をまとめて埋葬するお墓のことです。
合祀墓では、遺族が個別に管理する必要がなく、霊園や墓地が管理してくれるので供養も安心して任せられます。
散骨を行う
散骨とは、遺骨を粉末状にして山や海など自然に還す供養方法です。散骨は、墓地を持つ必要がなく後継者の負担を軽減できるため、お墓や遺骨を管理してくれる後継者がいない場合に最適です。
一般的には業者に依頼して行うことが多いですが、地域や場所によってはルールがあるため、散骨を計画する際には事前に確認が必要です。
樹木葬を行う
樹木葬とは、樹木の周囲に遺骨を埋葬する供養方法で、自然と共に故人を偲びたい方に選ばれています。樹木葬には、個別に埋葬する「個別型」や、複数の遺骨を一緒に埋葬する「合祀型」などの形式があり、要望や家族の意向に合わせて選べます。
樹木葬は、伝統的なお墓よりも管理の負担が軽減されるだけでなく、明るい雰囲気でお墓参りができ、自然と共に穏やかに故人を供養できる点が魅力です。
手元供養を行う
故人を身近に感じたい場合、「手元供養」という方法もあります。手元供養では、自宅など身近な場所に遺骨の一部や遺灰を保管することで、遺族がいつでも故人を偲ぶことができます。
遺骨の保管方法には、専用のミニ骨壺や遺骨ペンダントなどがあり、インテリアやファッションの一部として違和感なく取り入れられるものもあります。手元供養であれば、頻繁にお墓参りに行けない場合も、故人とのつながりを常に感じられるでしょう。
遺骨を捨てるのは法律違反になることを覚えておこう
遺骨がいらない・残したくないからといって、遺骨を捨てることは法律で禁止されています。
日本の刑法190条では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」と定められています。
これは、遺骨をゴミとして処分することや、公共の場に放置することも違法行為に該当するため、遺族が遺骨を「捨てる」ことはできません。
負担を抑えた手元供養が叶う仏具セットとミニ仏壇をご紹介
手元供養を負担なく行える仏具セットやミニ骨壺は、故人を身近に偲びたい方に最適です。コンパクトで扱いやすく、デザインもおしゃれなものが増えているため、自宅でも違和感なく取り入れられます。
また、経済的な負担を抑えながら供養できる点も魅力です。ここでは、手元に置きやすい仏具セットとミニ骨壺を厳選してご紹介します。
ミニ仏壇セット|祈りのステージ風・飾り台「瑠璃」七宝セット|お名前刻印サービス付き
シンプルで日常に馴染みやすい形で供養できる祈りステージのミニ仏壇セットです。おりんやホワイトブーケ(造花)もセットになっているので、届いた日からすぐに手元供養を始められます。
必要最低限の供養品なので、コンパクトに供養したい方にぴったりです。
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ミニ仏壇セット|やさしい時間・祈りの手箱|ナチュラル (チェリンセット)・ブーケ付(日本製)
木の温もりがお洒落、どんな住空間にも馴染むミニ仏壇・祈りの手箱。
普段はフタを閉じておけば、ホコリも気にならず、一見してお仏壇には見えないデザインとなっております。
仏具がセットになっており、初めてお仏壇を持つ方や、どのようなものを揃えたらよいのか不安という方におすすめのミニ仏壇です。
>ミニ仏壇セット|やさしい時間・祈りの手箱|ナチュラル (チェリンセット)・ブーケ付(日本製)の商品詳細はこちら
位牌が入るミニ仏壇|祈りの小箱・卯の花 厨子タイプ大 (厨子と飾り台・ミニミニ仏具・チェリンのセット) (日本製・漆仕上げ)
白はどんなお部屋にもしっくりと馴染んで、私たちの暮らしの中にあるインテリアや家具に違和感なく置くことができます。
思い出の品やお骨を納めたミニ骨壷、仏具、お写真などと共に自分らしい手元供養の祈りのスペースをお作りください。
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大きい骨壷|ピュアシリーズ|パールベースMサイズ(真鍮製)
真っ白な色合いが印象的な「ピュアシリーズ」 真珠の様な光沢で洗練されたデザインの、上品で凛としたミニ骨壷です。
容量(約)1370ccは、一般的なデザインの5寸の骨壷の、約6~7割程度の容量。納得のサイズ感で、骨壷の移し替えや、分骨に最適です。
>大きい骨壷|ピュアシリーズ|パールベースMサイズ(真鍮製)の購入はこちら
ミニ骨壷 いおり Iori シリーズ ホワイト ミルク スズ銅板製 大容量 三寸相当(名入れサービス無料)(日本製)
「いおり」は、シンプルで使い勝手の良いミニ骨壷です。この骨壷は、喉仏を崩さずに納めることが可能です。
喉仏をお守りとして手元に置きたいと願うご遺族様からの多くの声に応え、喉仏をそのまま納められる「いおり」をご用意しました。
大切な家族の喉仏、ご遺骨、ご遺髪、形見などを自宅で保管しながら手元供養することができます。
>ミニ骨壷 いおり Iori シリーズ ホワイト ミルク スズ銅板製 大容量 三寸相当(名入れサービス無料)(日本製)の購入はこちら
ミニ骨壷|シンプルクラシック(持ち運べる分骨骨壷) |ミスティゴールド(真鍮製)(日本製)
光の当たる加減で色の表情を変える不思議なミスティゴールド。滑らかな手触りが魅力で、小さなガラス球を骨壷の表面へ吹き付け滑らかにする特殊加工を施しました。
インテリアやお仏壇に置いても馴染みのよい上品な色に仕上げました。
>ミニ骨壷|シンプルクラシック(持ち運べる分骨骨壷) |ミスティゴールド(真鍮製)(日本製)の購入はこちら
火葬した遺骨は自宅での手元供養がおすすめ
お葬式を行わない選択や遺骨を残さない意向が増える中、法律に従った火葬や法的手続きは必須ですが、その後の供養方法には多様な選択肢があります。
自然に還す散骨や遺骨を合祀する合同墓などの方法もありますが、経済的な負担やお墓に行く手間を軽減したい方や故人を身近に感じたい場合には手元供養がおすすめです。
今回紹介した、専用のミニ骨壺を使えば、いつでも故人を偲べ、伝統的な供養とは異なる形で心のつながりを保つことが可能です。