特定の宗教や旧来のしきたりなどにとらわれない現代的な供養の方法として、広く受け入れられるようになった手元供養。この手元供養の広がりにともなって、ご家庭の中でのお仏壇の役割も従来の宗教的なものから、よりパーソナルで自由なものへと変わりつつあります。
こうした流れの中で、大きさやデザインも手元供養に合わせたお仏壇が多く登場するようになってきました。
現代におけるお仏壇の変化
いわゆる“お仏壇”と言えば仏教の祭壇を意味する言葉であり、「大きく重厚」「金箔など豪華な飾りが施されている」「仏間や床の間に置かれている」といった印象が強いかと思います。こうした昔ながらのお仏壇の中には、お仏像などのご本尊がお祀りされており、家庭における信仰の対象として大切にされてきました。
しかしながら「アパート、マンションなのでスペースがない」「洋間なのでインテリアに馴染まない」などといった住宅事情から、現代ではこうした従来型のお仏壇は少なくなっていく傾向にあります。
代わって多くなっているのがミニ仏壇、デザイン仏壇、現代仏壇などと呼ばれる新しいスタイルのお仏壇です。卓上用などサイズが比較的小さく、現代のインテリアを意識したシンプル・シック・モダンなどといったイメージのデザインになっています。
お仏壇の変化は形状だけにとどまらず、手元供養の普及にともなってその役割や意味も大きく変わってきています。 手元供養は「大切な人とずっと一緒にいたい」という、ご遺族のごく自然な想いを癒すための供養方法であり、手元供養を選ばれる方には特定の宗教や信仰を持たない方も少なくありません。
そういった方々にとってのお仏壇は仏様をお祀りする場所ではなく、故人のご遺骨などを置いておく場所であり、故人との絆を確かめる場所なのです。 また昨今のライフスタイルの変化により「お墓を持たない」「お墓に入らない」という方も多くなりましたが、そうした方がお墓に代わる故人の居場所として、ご遺骨をお仏壇で手元供養されるケースも増えています。
手元供養に最適なミニ仏壇
こうした流れに対応して、手元供養のための専用のお仏壇も数多く登場しています。 ミニ仏壇は信仰・宗派の儀式や旧い習慣などに関係なく、ご遺族が自分らしく自由に演出し、心のままに故人を偲ぶための空間として手元供養に最適なお仏壇です。
ミニ仏壇は名前通りの小さなお仏壇ですので、どんなお住まいでも置き場所を選びません。デザインもオブジェを飾る台のようなステージタイプや、家具のように扉を閉められるボックスタイプなどモダンで美しいスタイルのものが揃っています。
和室はもちろん洋室にも違和感なく馴染むので、ご家族が自然と集まるリビングのサイドボードや、静かに落ち着ける寝室チェストの上などお好きな場所に置いていただけます。
ミニ仏壇に亡くなった方のご遺骨やお写真などを置いて、お花やキャンドルなどで自由に飾り、毎日の暮らしの中で手を合わせて語りかけることで、大切な人をいつも身近に感じることができるのです。
ご遺族と故人をつなぐ祈りの場として
手元供養は、愛する人を失った悲しみをご遺族がご自身で癒していくための新しい供養のかたちです。ご遺族が悲しみを乗り越えて故人への想いと共に生きていかれることこそ、故人にとってもいちばんの供養となるでしょう。
手元供養におけるお仏壇は、ご遺族が生前と同じように故人に語りかけ、故人と心をつなぐための祈りの場です。ご遺族一人一人が自分らしく故人と向き合うための場所なのです。お仏壇に手を合わせることを通して、ご遺族が再び自分の人生を歩いていくための力を取り戻されること、それが私たちの何よりの願いです。